顧問・プロ人材の活用事例
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熱意ある企業とプロ顧問の連携が熱海の主要産業の課題解決の契機。改革のモデルケースの地域全体への波及目指す

熱海商工会議所 経営サポート課:山田 碩斗様
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熱海商工会議所 経営サポート課:山田 碩斗様
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    熱海商工会議所 経営サポート課:山田 碩斗様

    • 業 種団体組織

温暖な気候と美しい景観、良質な温泉に恵まれた日本有数の観光地である静岡県熱海市。
熱海商工会議所様は、地域産業の要として、さまざまなかたちの支援を通じて地域の中小企業を支えています。現在、熱海市の産業は、人材活用や就労環境に関する課題などを抱えている企業も多く、それを解決に導く施策として、マイナビ顧問を活用した企業支援の導入を決定しました。
熱海商工会議所様の顧問活用による課題解決への取り組みをご紹介いたします。

  • 顧問導入前

    熱海市では人材不足と正社員定着率の低下、高齢化を主要因とした業務属人化などの課題を抱える企業が多く、それが成長を阻害する要因となって地域発展を妨げている現状があった。特に旅館・ホテル業は職種ごとの業務負担割合の違いが大きな課題になっていた。

  • 顧問導入後

    人事・労務改善のプロフェッショナルの手を借りることで、支援先企業が抱える課題が明確となり、それに応じて現場の改革意識も大きく向上。さらに今回の取り組みをモデルケース化し、熱海地域全体の産業の発展につなげていく新たな流れも生まれた。

interview

人材不足、定着率の低下、業務分掌の曖昧さといった地域共通の課題

まずは熱海市の産業が抱える課題について教えてください。

熱海市は観光地ということで、旅館・ホテル、飲食などの観光産業が主幹産業となっており、次いで卸売・小売業 、建設業といった産業が多くを占めています。
その中で、「人材が不足している」「人材が定着しにくい」という、他の自治体と同様の「人」に関する課題に直面しています。
これは熱海市全体の課題であるとともに、当商工会議所の会員企業様も直面している大きな問題でもあり、いかにその解決に向けた効果的な支援を行っていくかが当所の課題にもなっています。

特に旅館・ホテルなどの観光業や建設業は「人」が資本の産業であるだけに、これらの課題解決なしに熱海市の産業活性化は望めません。
当所では、そうした課題を抱える会員様に向けたいくつかの支援を行っており、今回お話させていただくプロ顧問による経営改善支援もその一つだと言えます。

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マイナビ顧問を活用しようと思ったきっかけは?

当所では2年前から、自所で運営する求人サイト構築をはじめとした採用戦略でマイナビさんの力をお借りしているのですが、その中で、「人材が定着しにくい」という熱海市が抱える問題で悩んでいる旨を相談させていただいたところ、「マイナビ顧問」を活用した課題解決のご提案をいただいたことがきっかけとなります。

当所の主たる会員様である中小企業の多くが正社員確保に苦しんでいるのと同時に、旅館・ホテル業特有の従業員の職種別の業務負担割合の違いや、建設業におけるマネジメント職の高齢化による業務の属人化などを一因とした正社員定着率の低下という問題も併せて深刻化しています。つまり、社員を登用できたとしても、現場と人材のミスマッチにより長く働いてもらえないという負のスパイラルに陥っており、これは特に特に熱海市の主幹産業である旅館・ホテル業で顕著でした。

そこを深堀りし、分析を行っていくと「業務分掌」がネックになっていることが判りました。「業務分掌」とは会社や組織において、部署やチームごとに職務内容・責任・権限を分けることで健全な組織運営や業務の円滑・効率化につなげていく方法論で、旅館・ホテル業を例に取りますと、正社員さんとアルバイト・パートさんの業務の棲み分けが曖昧になっていること、正社員の中でも担当する仕事によって業務の負担が大きく異なることなどが、人材定着を阻害する種々の要因が生まれていることが分かってきました。

したがって、まずはこの課題に取り組むことが熱海市の産業が抱える課題解決への第一歩になると考えました。
しかし当所だけでは専門的な知識や知見に乏しいため、こうした課題解決のプロフェッショナルの存在が欠かせません。そこでマイナビ顧問さんのお力を借り、専門家を派遣していただき、この問題を解決していこうということになったのです。

高度な知見を持つプロ顧問の力を借りることで、効果的な課題解決を図る

顧問導入はスムースに進んだのですか?

今回の顧問派遣事業は、厚生労働省の「働き方改革推進支援助成金」を利用し、事業資金に充てることで実現したものなのですが、マイナビ顧問さんが、こうした制度活用を含めた提案を行ってくださったので、資金調達面も含めスムースに事が進みました。

また、業務分掌という課題に対して、すぐに専門的な知見をもってアプローチできるプロ顧問の先生をご紹介いただけたことも大きいですね。
マイナビ顧問さんからご紹介いただいた顧問は、さまざまな企業・組織の業務改善支援で豊富な経験と実績を持つ方であり、当所の会員様が抱える課題と向き合うにあたって理想的な人事・労務改善のプロフェッショナルだと確信できたことでお願いすることにしました。

今回の顧問活用による支援先企業は、どのようにして決定したのですか?

当所の会員様に向けて顧問派遣による課題解決の旨を記した告知チラシを配布し、申込みのあった事業者様から選定させていただきました。

具体的には建設会社さんと旅館さんの2事業者で、いずれも創業60年以上の歴史を持つ、地域を代表する老舗企業です。
建設会社さんは現場監督職の高齢化や長年にわたる属人的な業務体制により、会社にノウハウが蓄積されないという課題、一方の老舗旅館さんは「中抜けシフト・中抜け勤務」(※)に起因した正社員定着率の低下という課題を抱えており、今回の顧問導入の告知を見て応募してくださったのです。

(※忙しくなる時間帯に合わせて出勤する働き方で、旅館・ホテルの仲居さんに多い勤務形態。忙しい朝と夕方・夜間の間に間が空くことからこう呼ばれる)

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顧問を活用した具体的な支援方法についてお聞かせください。

今回の支援事業は国からの助成金を利用することもあり、支援期間を定めた有期事業という位置づけとなります。
具体的には、令和5年の9月から令和6年1月末までの6ヶ月間を支援期間と定め、顧問の先生をお招きし、それぞれの事業者さんに対して5~6回に分けた支援を実施してもらいました。

建設会社さん、老舗旅館さんともに、顧問が直接会社や現場に赴いてヒアリングを重ね、その結果を経営層にフィードバックしながら具体的な施策を取り決めていきました。
具体的には明確になった課題に対して優先順位をつけ、それを元にやるべき施策をまとめたToDoリストを作成していただいた上で、それぞれの事業者さんがそのリストにしたがって施策を実施していくことで課題解決を図っていく、という方法を採ることにしました。

つまり方針決めや解決に向けた道筋づくりは顧問が行い、あとは事業者がリストの計画に沿って施策を実施して解決を図っていく、という分担です。
しかし、すべてを事業者さんだけでやってくのは負担も大きいので、そこは熱海商工会議所が継続に支援行い、改革を支えていく二人三脚体制でサポートを行っております。

今回の取り組みで生まれたモデルケースが熱海の企業全体の改革意識を高めていく

顧問活用によって、どのような効果がありましたか?

建設会社さんの場合ですと、顧問にヒアリングやそれに基づく分析を行ってもらったことで自社の問題点や成長の阻害要因が可視化され、自分たちで取り組むべきことが明確になったことで改革への意識が大きく高まった、という声をいただいています。

旅館さんも同様に「潜在的な部分も含め自分たちの課題が分かった」「課題解決への道筋が明確になった」という声をいただくと同時に、社長様はじめ経営層の方から顧問導入の効果の大きさを高く評価していただき、「今後も顧問から継続した支援を受けて改革を進めたい」ということで、今回の助成金事業とは別に顧問との間で顧問契約を結ぶような新たな流れも生まれました。

現状では、施策を業務に落とし込んでいく段階で、すべての改善フェーズが終わったわけではありませんが、例えば旅館さんの場合ですと「フロント」「調理担当」ゲストアテンダント」など、これまでそれぞれの部署で担当していた業務を一元化していくことで中抜けシフトの根本的な問題点である「間の時間」を効率的に埋めることができ、現場の負担が大きく低減されたという報告をいただいています。

半年という短期間ではありましたが大きな成果があったということですね。

はい。特に熱海市は観光業が主幹産業であり、先の「中抜けシフト」による正社員の定着率低下は旅館・ホテル業全体の共通課題となっていることから、今回の顧問活用による改革は、課題解決への一つの大きなモデルケースになると思っています。
当所としては、このモデルケースを他の会員様に広め、熱海市全体に波及させることでマクロなスケールで解決を図っていくことを一つのゴールだと考えています。

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今回の取り組みをベースに、熱海の産業全体の課題解決につなげていくということですね。

そうです。今回の取り組みで大きな収穫だと感じたのが「地域全体の改善意識を変えていけるかもしれない」という可能性を感じたことでした。

特に旅館・ホテル業界では、中抜けシフトが常識化しており、そこで働く方々も「これは業種上、仕方ないことなんだ」だと割り切っている感がある中、今回の改革をモデルケースとして発信していくことで前向きな改善意識をもってもらえるのではないか、という大きな手応えを感じることができました。そういった意味では、今回の事例は熱海商工会議所や会員様だけでなく、熱海市全体にとっても極めて大きな意味を持つ取り組みだと思っています。

したがって、今後も「働き方改革推進支援助成金」のような助成金制度を用い、マイナビ顧問さんからきっかけを与えていただいた地域の改革支援を継続的に行っていくつもりです。

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