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SDGs研修の重要性とは?研修の目的や企業での取り組みメリットについて解説
まだ国内企業の4割弱しか積極的に取り組めていないともいわれるSDGs。もし社員教育の負担を理由に取り組みが遅れているのなら、「SDGs研修」が解決策となるかもしれません。
この記事では、SDGs研修について、企業が取り組むべき理由と目的、研修形式の違い、研修で得られるメリットとデメリット、研修前に知っておくべきことをご紹介します。
1.SDGsについておさらい
SDGs(エスディージーズ)とは、環境破壊、差別、貧困などといった現代社会の問題を解決し、世界中の人々が継続的に繁栄していくことを目指す国際目標です。2015年9月にニューヨークの国連本部で開催されたサミットにて採択されました。 正式名称は「Sustainable Development Goals」、日本語では「持続可能な開発目標」と訳されます。
SDGsは17個の目標と169のターゲット(目標達成のための指針)からなり、明確なゴールが定められています。達成期限は2030年、すべての国連加盟国はこの期限までに目標を達成しなければいけません。すでに世界中で取り組みが始まっており、日本においても大企業を中心に取り組みが進みつつあります。
SDGsについては以下の記事でより詳しくご紹介しています。ぜひ併せてご覧ください。
2.企業がSDGsに取り組む必要性
企業がSDGsに取り組むことは、今後も企業として存続するために必要不可欠といっても過言ではありません。
SDGsは「誰一人取り残さない」ことを理念に掲げた、世界中のすべての方に関係する国際目標です。メディアが取り上げる機会も多く、最近ではあらゆる場所で耳にするようになりました。SDGsへの取り組みを推進することは企業にとって消費者からの大きな共感につながります。一方、取り組みの姿勢が認められなければ、社会問題を軽視する組織だと反感を買ってしまい兼ねません。
企業がSDGsに取り組む必要性は以下の記事でも解説しております。
3.SDGs研修とは
このような背景を踏まえ、企業がSDGsに取り組むための手助けとして注目されているのが「SDGs研修」です。SDGs研修とは、SDGsを社員に浸透させるための企業研修を指します。
3-1.研修の目的
SDGs研修の目的は、SDGsという概念を正しく社内に浸透させ、企業として適切に取り組みを進めることにあります。
SDGsは最近あらゆる場所で耳にするため、「持続可能で環境に優しくて...」と、つい理解したつもりに陥りやすい言葉です。しかし、このような理解では取り組みはなかなか進みません。SDGs研修により社員一人ひとりがSDGsを正しく理解すれば、全社一丸となった施策が可能となります。
4.SDGs研修の種類
SDGs研修は以下の4種類に大別でき、特徴やメリットはそれぞれ異なります。
- 対面・座学
- ワークショップ
- 動画
- カードゲーム
順番に詳細を見ていきましょう。
4-1.対面・座学
最も一般的な形式が対面・座学です。SDGsの知見を持つ人物が講師となり、社員に対して正しい知識を伝えます。大学の講義やセミナー、講演会のようなイメージです。
【メリット】
・一度で多人数に研修を行える(少人数も可能)
・事前に必要な準備や道具が少ない
4-2.ワークショップ
ワークショップとは、参加者が主体的に体験・行動するSDGs研修です。 対面・座学が話を聞くことを目的としているのに対して、ワークショップは少人数のグループに分かれてテーマに沿って討論するなど、全員が率先して発言します。受動的でない学びを実現できるのが魅力です。
【メリット】
・社員それぞれが「自分ごと化」しやすく、知識が根付きやすい
・受動的な研修よりもモチベーションが高くなりやすい
4-3.動画
利便性に優れているのが、動画視聴によるSDGs研修です。パソコンやスマートフォンなど身近な視聴機材を用いて、社員それぞれがSDGsにまつわる動画教材を視聴し、自分で学習を進めます。
【メリット】
・場所も時間も選ばず、視聴機材さえあれば自分のペースで学べる
・翌年以降も追加費用なしで同等の研修を受けられる
4-4.カードゲーム
カードゲームは厳密にはワークショップの一種です。しかし、1ジャンルとして受け入れられるほどに広がりを見せています。
代表的なものは、一般社団法人イマココラボによって開発され、国連本部でも体験会が実施された「2030 SDGs」です。
このゲームの参加者は、それぞれがお金・時間・プロジェクトのカードを持ち、一人ひとり異なるゴールと、全員共通(世界全体)で用意されているゴールの両方を達成できるように行動します。2030年の世界を疑似体験できるだけでなく、SDGsに欠かせない協調を実感できる、協力型のカードゲームです。
【メリット】
・SDGsに対して関心が薄い社員も楽しく学習を進められる
・SDGsの流れを実感として学びやすい
5.SDGs研修を行う前に見るべきポイント
SDGs研修の4つの形式にはそれぞれ一長一短があり、自社の希望や風土に合わせて任意に選択できます。ただし、どれを選ぶ場合であっても、研修の実施前には「目的の明確化」と「ゴールの設定」を必ず行いましょう。
5-1.SDGsに取り組む目的を明確化する
研修で成果を挙げるためには、少なくともSDGs対策を担う部門と経営層は「なぜ自社がSDGsに取り組むべきなのか?」を明確に理解しておくことが大切です。
- 他社が取り組んでいるから
- 世間で重要だといわれているから
といった曖昧な目的では、仮に首尾よく研修でSDGsの概要を社員に共有できたとしても、その先のビジョンが生まれません。
5-2.研修のゴールを決めておく
SDGs研修の効果を測定するためには、ゴールを定める必要があります。たとえば、以下のようなゴールが考えられます。
- 17個のうち、自社が取り組み進めるべき目標の共有
- 目標達成のためのKPI(重要業績評価指標)の共有
- KPI達成のための具体的な取り組み方針の共有
いずれも社員全員に対して研修のゴールを周知しておく必要があります。 また、社員に対して一方的に共有するのではなく、社内で意見募集をするのもよいでしょう。研修後の理想の状態をいま一度検討してみてください。
6.企業がSDGs研修を行うメリット
では、企業がSDGs研修で得られるメリットを見ていきましょう。
6-1. SDGsに対する理解を深められる
最大のメリットは、SDGsに対して社員の理解が深まることです。
前述のとおり、SDGsは曖昧な理解のまま使用してしまいがちな言葉ですが、そのままでは取り組みもうまく進みません。SDGsを尊重する企業として自社が今後も成長していくためには、社員全員のSDGsの知識を熟成させることが必須です。
6-2.SDGsの共通認識が持てるようになる
SDGsへの理解が進むと、社員同士が「なぜ自社がSDGsに取り組むのか」や「社内で推進されている取り組みの意味」を共通認識として持てるようになります。「指示されたから」という状態でやるよりも高いモチベーションで業務を進められるでしょう。また、業務の本質を理解していれば、人事異動など担当者の変更時にも適切に引き継ぎが行われるようになります。
6-3.SDGsウォッシュの回避に繋げられる
SDGsの正しい理解は「SDGsウォッシュ」を避けることにも繋がります。SDGsウォッシュとは、SDGsに取り組む"フリ"をする行為を指します。
ひとたびSDGsウォッシュを行った企業だと見なされてしまえば、イメージに繋がってしまいます。企業には上辺だけをなぞる行動ではなく、効果の見込める取り組みを正確に進めることが求められています。
6-4.SDGsを自分ごと化できる
「共通認識が持てること」と関連して、社員それぞれがSDGsを自分ごと化できる点も重要なメリットです。
SDGsには「目標8:働きがいも経済成長も」のように、自分の生活に直接恩恵のある内容も含まれています。発展途上国だけでなく、日本に住む人々全員にも関係する国際目標です。しかし、あまりにも壮大に聞こえることから、身近なものとして捉えられない人も少なくありません。SDGs研修には、このような人に対してモチベーションを引き出す効果も期待できます。
7.SDGs研修を行うデメリット
メリットの多いSDGs研修ですが、一方で以下のようなデメリットも存在します。
- 研修を行うための時間的・金銭的コストがかかる
- 社員のモチベーションが下がる可能性もある
- 研修内容に問題があると、かえってSDGsウォッシュに陥りやすくなる
特に、モチベーションを引き出すためにSDGs研修を行った結果、逆にやる気を失わせてしまうようなことがないよう注意する必要があります。
8.まとめ
今回はSDGs研修について、企業が取り組むべき理由と目的、4つの研修形式の違い、メリットやデメリットなどを解説しました。
SDGs研修は、企業がSDGsへの取り組みを加速させるために役立ちます。しかし、研修前には「自社がSDGsに取り組む目的」を明確化する必要があります。また、知識がなければ自社が導入した研修の内容が正しいのか判断できず、SDGsウォッシュのリスクが高まります。
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