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新規事業開発を成功させるために必要なこととは−求められるスキルについても解説
中小企業による新規事業開発の成功率は3割未満ともいわれており、生き残りを懸けて打ち出した施策が失敗に終わってしまうケースも少なくありません。
この記事では、そもそも事業開発とは何か、新規事業開発の重要性、求められる能力・知識・スキル、開発の流れなど、新規事業を成功させるために必要なことをご紹介します。
1. 事業開発とは
事業開発(Business Development)とは、企業の成長を目的にビジネスを構築(事業を開発)し、新しい市場や顧客を開拓することです。定義が曖昧な言葉で、既存事業の発展を指すこともあれば、新ビジネスの構築を意味する場面もあります。
事業開発を担える人材は「BizDev(ビズデブ)」と呼ばれ、転職市場で人気です。その背景には、(特に新規の)事業開発が企業にとって欠かせない課題であることが影響しています。
※「BizDev(ビズデブ)」はBusiness Development(ビジネス デヴェロップメント)の略で「事業開発」という意味です。
1-1.新規事業開発の重要性
新規事業開発の目的は、従来とは異なる業界で新しい収益の柱を手にすることにあります。
ビジネスはウイルスの拡大など、想定外の外的要因で窮地に追い込まれるリスクは避けられません。また、既存事業が優れているほど後発の企業に模倣され、競争が激化してしまうケースも多々あります。このため、複数事業の所有は将来への優れたリスクヘッジとなり、長期的成長につながります。
2.新規事業開発に必要な能力・知識
新規事業開発を成功させるためにはどのような能力や知識が必要となるのでしょうか。ここでは特に重要といえる4つをご紹介します。
2-1.新規事業に関する経験
まず必要となるのが新規事業に関する経験です。ビジネスの成功には机上の空論ではなく実際の経験が必要です。これから挑戦する分野に詳しい人物を雇い入れたり、コンサルタントを利用したりするなど、外部人材の導入が解決策となり得ます。
2-2.専門的な知識
新しい市場への挑戦は、既に参入している他社との戦いになります。そのため、ありきたりな商品では新規事業の成功は難しく、「業界の中でいかに独自色を出すか」という専門的な知見が求められます。外部人材の活用はもちろんのこと、既存事業の専門知識と掛け合わせることで新たな価値を生み出せるケースもあります。
2-3.構想や考えの言語化
考えを言葉にして表すことはさまざまなメリットを生みます。チーム内で構想や考えを言語化し共有することは新規事業開発において特に重要です。経験をもとに個人が有している「暗黙知」を「形式知」としてマニュアル化できれば、万が一担当者が途中交代する場合にもスムーズな引き継ぎができ、開発の停滞を防げるでしょう。
2-4.リーダーシップ
新規事業開発は根気のいる仕事です。いざ新規事業開発をしようと意気込んでも、アイデアが枯渇して長期間何も生み出せなければプレッシャーも高まります。グループのトップには、メンバーのモチベーションを掻き立て、意欲的に作業へ取り組みたくなる環境をつくれる強いリーダーシップが求められます。
3.新規事業開発で求められるスキル
続いて、新規事業開発で大切な4つのスキルを見ていきましょう。
3-1.コミュニケーションスキル
前述した「構想や考えの言語化」や「リーダーシップ」にも通じますが、新規事業開発の成功にはコミュニケーションスキルが欠かせません。仲間内の討論だけでなく他部門に協力を要請したり、上層部に陳情したりとコミュニケーションの機会は豊富です。時には顧客との対話を通じて引き出したニーズが新規事業開発のヒントとなる可能性もあるでしょう。
3.2.営業・マーケティングスキル
新規事業開発チームは初期の営業・マーケティングを行うこともあります。営業やマーケティングがうまくいかなければ、優れたアイデアがあっても失敗に終わってしまいます。また、専門の部門へ依頼する場合に「このような形でお願いします」とイメージを共有できるだけのスキルは必要です。
3-3.情報収集・分析スキル
新規事業開発では市場の動向や顧客のニーズなど、さまざまな情報を収集・分析しながらプロジェクトを進めます。このため統計分析や調査法の知識など、専門的な知見が求められます。結論ありきで自分に都合の良い情報ばかりを集めてしまう「確証バイアス」などを避け、論理的に情報を収集・分析しなければいけません。
3-4.スケジュール管理スキル
新規事業開発ではスケジュールを適切に管理し、開発を円滑かつ継続的に進めていくスキルも重要です。別のプロジェクトでリーダーを経験した人材をトップに据えると、首尾よく開発が進みやすくなります。
4.新規事業開発のポイントやよくある失敗とは
新規事業開発を成功させるためのポイントは大きく5つあり、以下の通りです。
- 軸となるコンセプトを決める
- 顧客の需要(課題)を把握する
- 参入する市場の規模と将来性の調査
- 新規サービスに必要な環境を把握する
- 撤退する基準を決めておく
事業コンセプトの明確化や、市場規模・将来性の調査を怠ってしまうと、最終的なゴールなども曖昧になってしまいます。また、ニーズの把握も新規事業を成功させるうえで重要となります。
また、よくある失敗として以下の3点が挙げられます。
- アイデアが出てこない
- 補助金や助成金のどれが対象になるのか分からない
- 新規事業を考える時間がとれない
ポイントとよくある失敗の詳細については、以下の記事で解説しております。ぜひ本記事と併せてご確認ください。
5.新規事業開発を成功させるための流れ
実際に新規事業開発を成功させるために、企業はどのような流れで動くべきなのか確認していきましょう。
5-1.市場の分析・調査
まず必要となるのが市場の分析・調査です。優れた商品であっても需要がなければビジネスとして成り立ちませんので、収益性があるかどうかの確認は必須です。
- 十分な収益が見込める市場なのか
- 競合他社に勝てる見込みはあるのか
- 市場の将来性はどうか
現時点でおおまかに「この分野に挑戦してみよう」と考えている市場に対して、上記のような情報を正確に調査・分析する必要があります。
5.2.アイデアの創出・事業の方向性を明確化
市場の分析後は、より具体的にアイデアを創出し、事業の方向性を明確に定めていきます。以下を考慮しつつ、アイデアを現実的に落とし込んでいきます。
- ターゲットは個人向けか法人向けか
- ターゲットの属性
- 高級路線か庶民派路線か
- 通販か実店舗を設けるのか
5.3.現状の課題の洗い出し
次に、アイデアを事業として実現するにあたっての課題を洗い出します。たとえば、コーヒー豆の小売業者が新規事業としてカフェを営むとすれば、少なくとも以下のような課題が浮かび上がるでしょう。
- 店舗用物件の確保
- 食器やテーブルなど運営に必須な道具の確保
- 人材の確保(ホール、バリスタ、食品衛生責任者、防火管理者など)
- コーヒー以外のメニューにまつわる仕入れ先の確保
5.4.事業戦略・モデルの構築
次に、解決策を検討しつつ事業戦略・モデルを構築していきます。誕生したアイデアを深化させていくフェーズです。
- 資金調達
- 販売計画
- プロモーション戦略
- 人員配置(スタッフィング)
新規事業として運用するための必須要素となるポイントについて検討し、自社ならではの戦略・モデルを作り上げていきましょう。
5-5.事業の計画・立案
続いて、具体的な日時や数字を含んだ計画を立案します。例としてあげたカフェを想定した場合、少なくとも以下は定めておくべきでしょう。
- 営業時間・曜日
- 開店予定日
- 開店の周知方法
- スタッフの採用計画
- 店舗物件の確保計画
- 仕入れ先との契約計画
- 役所への届け出など法的手続き
新規事業開始までのスケジュールや行動を具体的に定めることがポイントです。
5-6.事業の実行・PDCAサイクルを回す
上記のプロセスを経て、いよいよ新規事業をスタートさせます。重要なのは、顧客の反応や予想外の出来事を受け止めつつPDCAサイクルを回していくことです。
新規事業開発では、柔軟な方向修正はもちろん、時には勇気ある撤退も必要です。PDCAサイクルの運用は、新規事業を客観的かつ継続的に評価するための優れた方策となります。
ここまでの流れをスムーズに進めるためのツールとして「フレームワーク」を活用することをおすすめします。フレームワークについては以下の記事にて詳しくご紹介しています。ぜひ併せてご確認ください。
6.新規事業開発にはマイナビ顧問がおすすめ
もし自社のみで新規事業開発が困難だと感じたのであれば、マイナビ顧問の活用が解決策となり得ます。マイナビ顧問はプロフェッショナル人材を企業に提案するマッチングサービスです。金銭面や契約期間、新規事業開発にあたってのご要望など、貴社の希望をヒアリングしたうえで最適な人材をご紹介します。
マイナビ顧問の利用を通じて新規事業開発を進めた企業の事例としては以下のようなものがあります。
6-1.登録顧問事例1:ITセキュリティの新規事業開発
従業員数50名以上のあるIT企業では、既存事業の伸び悩みから自社業務と親和性のある「ITセキュリティ分野」での新規事業開発を模索していました。
そこで、大手ITセキュリティでのキャリアを持つ顧問をマイナビ顧問よりご紹介。マイナビ顧問は月に2回、事業責任者との意見交換や事業設計でサポートをしています。開発の初期段階からご依頼いただけたことで、外様感のないコンサルティングを実施できています。
6-2.登録顧問事例2:大手ゼネコンへの販路開拓・新事業開発
「医療ツーリズム・業務効率・改善ツール販売」に携わるある企業では、大手ゼネコンへの販路開拓と、主力商品に次ぐような製品の仕入れまたは開発(新規事業開発)を計画していました。
そこでマイナビ顧問では、国土交通省の勤務経験がある70代の男性顧問をご紹介しました。結果、顧問の人脈により契約当初から月3件以上のアポイント(大手ゼネコンや関連会社によるもの)を獲得し、並行して土木関連商材を取り扱う企業とのつながりも構築。土木業界ならではの「輸送時の悩み」を解決できる商材を協力開発し、事業開発から6ヵ月後には黒字化させることに成功しています。
7.まとめ
新規事業開発は企業が生き残っていくうえで避けては通れないビジネス上の重要課題です。しかし、成功のためには必要なことがあまりに多く、成功率も3割以下といわれています。
成功のカギの一つは「新規事業の分野における経験」です。自社のみでの対応は難しい場合は、経験豊富な外部人材を顧問として招き入れ成長のスピードアップを図る方法があります。その際はぜひマイナビ顧問への活用をご検討ください。