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業務効率化システムの種類を用途別に解説−選ぶ際のポイントや事例も紹介
業務効率化の成功は企業にとって、生産性の向上や働き方改革を実現させるために必要不可欠です。ですが、数ある業務効率化システムの中から自社に合うものが見つからず、かえって業務の効率が下がってしまい悩んでいる企業もたくさん存在します。
業務の効率化を目指すには、まずシステムの種類や用途を理解しておくべきです。システムの中身を理解せずに取り入れても、上手に使いこなせず効率化につながらないといった可能性も少なくありません。
この記事では業務効率化システムの種類や導入するメリットなどを紹介していきます。成功例も紹介していますので、自社にあったシステムを見つけることができるはずです。業務効率化を目指している企業の方々はぜひ参考にしてみてください。
1. 業務効率化とは効率的で円滑な業務を目指すこと
業務効率化と言っても具体的に何を目標としているのかわからないという方も少なくないはず。業務効率化とは業務の無駄、無理、ムラをなくし効率的で円滑な業務を目指すことです。無駄、無理、ムラが見つかれば業務の重要度が明確になり生産性の向上や働き方の改革へとつながります。
業務効率化ができなければ無駄、無理、ムラを繰り返すこととなり悪循環から抜け出せなくなってしまいます。業務効率化はすべての企業にとって避けることのできない大きな課題です。
2. 【用途別】業務効率化システム・ツールの種類や目的
業務効率化が必要だと理解していても、何をはじめるべきかわからないという企業も多いはずです。また、業務効率システムやツールをむやみやたらに試しても必ず成功するわけではありません。まずは、種類や用途を理解しておきましょう。
2-1. コミュニケーションツール
まず業務効率化システムの一つとして、コミュニケーションツールが挙げられます。業務における意思の伝達を効率よく行うことで、社内連絡の時間が短縮されるだけではなく、情報を社内で共有できるため伝達漏れを防ぐこともできます。
コミュニケーションを活性化させるものとして、社内SNSやビジネスチャットがあり、アラーム機能やスケジュールの共有も可能です。近年リモートワークが定着している企業も多く、社内外での伝達を素早く行うためにはコミュニケーションツールは欠かせません。
低コストで始めることができますが、ツールによっては使用できる機能や価格が変わります。企業の規模や必要機能の有無に合わせてツールの導入を検討しましょう。
2-2. RPA
RPAとは「Robotic Process Automation」の略で、一定の手順で行うことができるデータ収集やバックオフィスの業務を行うソフトウェアロボットです。パソコン業務をルールに基づいて自動で行うので、ミスなく短時間で業務が完了します。
RPAは膨大なデータ管理に時間をかけている企業には最適なシステムです。ただし、RPAはAIとは違うため自分で判断が出来ません。そのため、決断が必要な作業や一定のルールに基づいていない業務などは出来ないので注意してください。
デスクトップ型とサーバー型があり、デスクトップ型の場合パソコン1台から導入ができるため気軽に始めることができるのがポイントです。
2-3. 名刺管理
名刺管理システムは紙媒体ではなく、データで名刺を一括管理できるシステムです。データ管理にすれば社内全体で情報を共有でき、営業の効率化に役立ちます。紙の名刺をスキャンし、データ化したものをシステム内に保管する方法です。
紙の名刺の場合、保管場所が必要で探したい時にすぐに必要な名刺が見つからないこともあります。その反面、データ化した名刺なら保管場所が不要なうえ、検索や絞り込みで必要な名刺を探すことが可能です。営業業務の効率化向上には欠かせないシステムと言えます。
2-4. ペーパーレス化
ペーパーレスシステムはこれまで紙を使用していた書類をデータ化し、システム内で保管します。ペーパーレスシステムを導入することで、膨大な書類の保管場所を確保する必要がなくインクや用紙代のコスト削減が可能です。
また、郵送でやり取りしていた請求書などもペーパーレスシステムを利用すれば、時間の短縮にもつながるため業務効率化が期待できます。システム内でデータを保管するため、紛失や盗難の心配もありません。
コスト削減にも役立ち、取り引き先とのやり取りもスムーズに行えるため、ペーパーレスは業務効率化を目指すには必要不可欠なシステムです。
2-5. タスク・プロジェクト管理
タスク・プロジェクト管理ツールは、タスクやプロジェクトの管理をチームや部署間で共有できます。チームで管理すればプロジェクトの進捗状況をチーム内で確認し合うことができます。そのため、スケジュールの抜け漏れやタスクの遅れにすぐに気づくことができ、作業の効率化アップが可能です。
チームで行っていても、誰がどのタスクを担当しているのか分からなければ、情報の伝達ミスなどが発生してしまいます。タスク・プロジェクト管理ツールは、やるべきことを明確にしたToDoリストや誰がどのタスクを担当しているのかを視認できる機能が付いているものが多いです。
これらの機能を利用し、ミスを減らすことで効率よく業務をスムーズに行うことができるでしょう。
3. 業務効率化システムを導入して得られるメリット
業務効率化システムの導入は考えているものの、具体的なメリットがわからないという方も多いのではないでしょうか?メリットがわからなければどのシステムを導入するべきか悩んでしまうはずです。業務効率化システムを導入する前にメリットを理解しておきましょう。
3-1. 生産性が向上する
業務効率化システムを使用することで無駄な業務を減らし、人員を生産性が高い業務に集中させることができます。また、システムの導入をすればコンピューターが自動で作業を行ってくれるので、ミスをなくし業務の時短も可能です。
その結果、従業員に余裕ができパフォーマンスの向上が期待できるため、生産性の向上へとつながります。業務効率化でリソース配分を見直せば低リソースで高いパフォーマンスが実現できるはずです。
3.2. コスト削減につながる
業務効率化システムで自動的に業務を進めることができれば、人件費や残業代のコスト削減につながります。これまで何時間もかけて処理していたデータも、システムなら一瞬で作業が完了するので余分な人件費が削れ業務の残業が減るでしょう。
また、システム内でデータを管理するため印刷代や郵送費も削減できます。業務効率化システムは有料の場合がほとんどですが、結果的な時間的コストから金銭的コストの削減が可能です。
時間のかかる業務をシステムに任せるため新たな従業員の研修費もかかりません。業務効率化システムでリモートワークも可能になり移動費も削減できるなど、業務効率化システムの導入でもたらすコスト削減の効果は絶大です。
3-3. データ管理の最適化
業務効率化システムの導入でデータ管理の最適化が可能です。業務効率化システムでは自動でデータの管理を行ってくれます。そのため、必要なデータを瞬時に見つけ出すことができ、業務をスムーズに行うことができるでしょう。
膨大な量のデータは管理だけでも時間と労力がかかってしまいます。さらに、人為的な管理の場合紛失や確認漏れなどのミスへとつながる可能性も少なくありません。その反面、業務効率化システムならデータを最適化してくれるため、ミスの心配も不要です。
データ管理の最適化ができれば、企業内での情報の共有もスムーズに行うことができます。従業員の多い企業やデータ量が多い企業にとって、データ管理の最適化は業務効率化システムを導入する最大のメリットと言えるでしょう。
3-4. 仕事と生活のバランスが取りやすくなる
業務効率化システムの導入は労働時間を減らすことができるため、仕事と生活のバランスが取りやすくなります。残業がなくなればプライベートを充実させることができ、仕事へのモチベーションアップにもつながるはずです。
残業が増え仕事と生活のバランスがとれなければ、業務パフォーマンスが低下する傾向がありますが、従業員の仕事と生活のバランスを上手く取れていれば、思わぬ業績アップも期待できるでしょう。
業務効率化システムの導入は企業にとっても従業員にとっても大きなメリットと言えます。
4. 業務効率化システムの導入によるデメリットはある?
業務効率化システム導入のメリットをお伝えしましたが、反対にデメリットはあるのかと不安に感じている方も多いはずです。業務効率化システムは企業にとって多くのメリットはあるものの、大きなデメリットはありません。
ですが、従業員にとってはシステムの専門的な知識が必要な場合もあり、かえって負担が増える可能性もあります。導入直後は新しいシステムに時間を費やすため、本来の業務に支障をきたす場合もあるでしょう。
また、自社に合わないシステムを導入してしまうと、手間とコストがかかるだけで無駄になってしまう可能性も否めません。ただし、自社に合ったシステムを選びシステム導入にあたっての従業員への配慮を心がければこれらのデメリットは解消されます。
システムを導入する際は、自社にあったシステムか見極め、従業員への事前研修を怠らないようにしましょう。
5. 業務効率化システム・ツールを選ぶ際のポイント
業務効率化システムが生産性の向上やコスト削減に効果的だと分かっていても、どのシステムやツールを選ぶべきかわからない方も多いでしょう。自社に合わないシステムを選んでしまうと、業務効率化が失敗するだけではなく、余分なコストや時間がかかってしまいます。
業務効率化システム選びを失敗しないために事前に選ぶポイントを理解しておきましょう。業務効率化システムやツールを選ぶポイントは4つです。
5-1. 課題を解決できるか
業務効率化システムを導入する理由は自社で持つ課題を解決するためです。やみくもにシステムを導入しても課題が解決できるシステムでなければ意味がありません。まずは必要なシステムやツールの機能を見つけ出すため、業務の現状を理解し抱えている課題を把握しましょう。
現状の課題が分かれば、どのような目的でシステムやツールを導入するかを明確にすることができます。実際に業務を行う社員たちの意見から課題が見つかれば、取り入れるべき機能が自然と見えてくるはずです。
業務効率化システムを使い効率よく業務を行うには、まず現在の課題を把握し解決ができるシステムを選んでください。
5-2. サポートの体制が整っているか
業務効率化システムは導入すればいいというわけではありません。導入後にシステムやツールを継続して使いこなす必要があります。そのため、不明点や不具合が出た場合のサポート体制が整っているか事前に確認しておきましょう。
新しいシステムの導入は、従業員にとって多少なりとも負担になります。サポート体制が整っていれば、従業員の負担も少なく業務効率化が成功するはずです。マニュアル資料の有無や、どのようなサポートがついているかを導入前に把握しておくことをおすすめします。
5-3. セキュリティは安全か
業務効率化システムの中には社外秘の情報や、重要な資料が多く保管されるはずです。そのため、導入前にシステムのセキュリティが安全か確認しておく必要があります。セキュリティが弱いシステムやツールを使用してしまった場合、大きな問題を引き起こす可能性もあるでしょう。
社外ツールで社内の情報を管理するため、外部からアクセスできない機能がついているシステムやツールを選ぶことをおすすめします。
5-4. UI(ユーザーインターフェイス)が高いか
どれだけ機能が充実しているシステムやツールでも、使い勝手が悪ければ業務効率化が下がってしまう可能性があります。無駄や無理をなくすための業務効率化システムが、かえって無駄や無理を生み出してしまうケースも少なくありません。
システムを定着させるには、UI(ユーザーインテ―フェイス)が高いシステムやツールを選びましょう。操作が難しく使いにくい機能ばかりだと、システムに費やす時間が増えてしまいおのずと時間的なコストもかかってしまいます。
社内のITリテラシーや利用用途を把握したうえで、業務効率化システムの導入を検討してください。
6. 業務効率化の成功事例
業務効率化システムが便利だと理解できていても、成功例を知らなければシステムの導入に一歩踏み出せないという人もいるはずです。実際に業務効率化システムを導入して成功した事例はたくさんあります。
成功事例を参考にして、業務効率化システムの導入を検討してみてください。
6-1. 問い合わせ対応の一部自動化
問い合わせ対応に追われていた企業が、チャットボットを導入して業務効率化に成功した例があります。チャットボット導入前はWebサイトに「よくあるお問い合わせ」項目を設置していたものの、ユーザーの利用率が少なく問い合わせ件数に悩まされていたそうです。
問い合わせ対応を一部自動化できるチャットボットを導入後、1ヵ月で約150件あった問い合わせを9割も減らすことに成功しました。その結果、これまで問い合わせ対応に費やしていた時間を通常業務に回すことで、従業員の残業時間の大幅カットが実現したようです。
一定のルールで対応できる問い合わせへの回答をシステムに任せることで、ユーザーのニーズに素早く対応でき、さらに時間の短縮にも成功しました。
6-2. 社内専用の一元管理システム
社内での情報や知識の共有を課題としていた企業は、社内専用の一元管理システムを導入し問題の解決に成功しています。システム導入前に使用していたチャットツールでは、内容を記録できず後から確認することができませんでした。
そのため、チャットツールから社内wikiへシステムを変更。新システムではノウハウや議事録などの情報を一元して管理することができたそうです。社内で同じ情報を共有できるため、伝達や情報漏れがなくなりました。
さらに、社内wikiには困った時の情報なども共有しているため、従業員の教育時間の短縮にも成功できたとのことです。社員の人数が多い企業などでは情報の共有や管理が大変ですが、一元管理システムを使えば情報の漏れなく共有ができます。
6-3. RPAによる業務効率化の成功事例
定型業務が多くスムーズに業務を進めることを課題としていた企業では、自動で業務を行うことができるRPAを導入しました。導入直後からすべての業務をRPAに任せるのではなく、初めは簡単な業務から始め、少しずつ難易度を上げていったそうです。
さらにすべての社員で効果を試すのではなく、ITに詳しい社員でいくつかのシステムを検討しました。その結果、RPA導入から1年以内にすべての部署でRPAの導入に成功。数名の社員はRPA導入に時間を費やしましたが、社員数1,000人以上という企業の規模から業務効率化は大成功と言えます。
RPAを導入したことにより時間と人員に余裕ができ、新規事業拡大にも力を入れることができました。
7. まとめ
この記事ではシステムの種類や用途、成功例を紹介してきましたが、業務効率化はすべての企業の課題です。業務効率化システムを導入し、コスト削減や従業員のパフォーマンス力が上がれば生産性の向上につながります。
ですが、システムの用途を理解せずに導入してしまい、コストや人員を費やしただけで業務効率化に失敗してしまったケースも少なくありません。
業務効率化システムを導入するには、どのシステムが自社に合っているか見極める必要があります。マイナビ顧問では、業務効率化システムのノウハウを持つプロフェッショナルと企業をマッチングします。
社内に専門的な知識を持つ従業員がいない、教育に手間とコストをかけたくないといった場合は、ぜひ活用してみてください。
上手く業務効率化システムを活用し、企業の成長に役立たせましょう。