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グローバルで活躍できる人材をどう見極める?
英語力や海外経験より必要なこと
どのようなステージの会社においても、グローバルでの事業展開は、もはや当たり前にスコープに入れておかねばならないテーマです。そしてその成功に欠かせないのが、「グローバルで活躍できる人材」の確保ですが、どんな人材を登用すればよいのでしょうか?英語が堪能な人材でしょうか?幼少期からグローバルな環境で育ってきた人材でしょうか?
英語力や海外生活経験はもちろんあるに越したことはありませんが、それらを重視すべきなのは、ポテンシャル採用の若手層、もしくは外資系企業です。日系企業で即戦力を期待される中途採用について言及するならば、「海外と実際にビジネスをした経験があるか」につきます。たとえ自身が関わった期間で業績的な結果が出なかったとしても、どのくらい自分が手足を動かして切り開いてきたか、その関与度合いの濃さがポイントになるといえます。
ですので、採用側は上記ポイントを見極めねばなりませんし、人材側はなんらかの海外事業に携わった経験を積まねばなりません。海外事業に携わりたいと転職を希望される方がいらっしゃいますが、その場合は英語力を上げるためにTOEICや英会話の勉強をすることよりも、むしろビジネス上の実績として、海外がらみの仕事を経験できるように現職で積極的に動いてみることが非常に大切になると思います。
具体的に見るべき経歴や人柄は?
それでは、「日系企業が中途採用で即戦力に近い形でグローバル系の人材を採用したい」と考えたとき、具体的に職務経歴書や面接でどこを見るべきなのでしょうか?
1 グローバル戦略を練ったり、市場調査・競合調査を行った経験ではなく、「実際に事業を動かしたり立ち上げた経験」
各会社によって「海外事業部」という名の組織の役割は様々ですので、こういう部署に在籍していた=海外事業経験がある、と判断するのは早計です。職務経歴書だけでわからなければ、面接で「具体的に何をやっていたか」を確認する必要があります。グローバル戦略を練ったり市場調査をすることは、インターネットや各種情報媒体が発達している昨今では比較的容易に行えるケースが多いからです。
2 自社が展開しようとしている地域での経験があるか
「海外」といっても、地域によってビジネスの作法も法律も、文化や宗教的な問題も様々です。そしてそれらを知らずに日本の感覚だけで事業を立ち上げよう、推進しようとしてもうまくいくはずがありません。ですから、採用しようとしている人材に、自社が展開しようとしている地域での前述の感覚があるか、欲をいえば、人脈があるか、営業先のイメージがつくか、なども確認したいところです。
3 海外での実績ではなくても、事業の中でなんらかの結果を出した経験があるか
国内を主事業にしている会社の場合は特に、海外事業は会社としての判断が変わることや、市場をとらえきれなくて思わぬ事態に陥ることが多いと思います。ですので「事業を推進する力」が強くなくては務まらないため、過去に「これが私の実績です」といえる事業内での結果があるかを確認しておくことは非常に重要だと思います。
4 最低限の実践的な英語力や海外経験があるか?
TOEICスコアがいかに高かったとしても、ビジネスで英語を使った経験のない方は優先順位が下がるでしょうし、学生時代に海外旅行をしたことがあるといった程度の海外経験では、いかに海外事業に携わりたい強い想いがあったとしても、採用は検討できないと思います。
5 人物的にストレス耐性が高く、すぐに投げ出さないでやりきる姿勢のある人柄か?
最後に人物面のお話です。海外事業は少数精鋭であることも多く、友人知人家族と話をする機会も減り、文化・習慣や人種の違い、治安など生活面での変化にも対応しなければならないため、仮にそこまで仕事がハードでなかったとしてもストレスがかかる環境です。その中でそれらを前向きにとらえ、自分の力ではどうにもできないようなシチュエーションに陥ったときも、心折れずに投げ出さない強い気持ちが必要です。面接時には、過去の困難を乗り越えた経験や、失敗したときやうまくいかなかったときの考え方やスタンスについて、具体的なエピソードも聞き出しながら確認しておくことが大切です。
グローバルでの豊富な経験を持つ人材を顧問にするのも手
このように前述の5つのポイントを兼ね備えた「グローバルで活躍できる人材」を発掘するのは、会社内外を見渡しても実は容易ではありません。一方で、スピードやタイミングが重要な事業展開の中で、賭けのような形で見極めきれない人材を海外事業のポジションにアサインするのも危険です。焦って人を採用するのではなく、海外の経験や人脈が豊富な方を、まずは顧問やアドバイザーという形で招いて、採用も含めてアドバイスをもらうのもひとつの有効な手段だといえるでしょう。