- 人材戦略
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40代からのキャリアプラン、どう考える?
出産年齢の高齢化、年金受給年齢の引き上げで変わること
終身雇用制度の崩壊はもちろんのこと、早期退職制度や役職定年制度を導入する企業の増加、大手企業の突然の倒産などの話題からもわかるように、近年、ますます雇用事情が不安定になってきています。また、出産年齢の高齢化により、ライフスタイルの中で、教育費の支出時期が以前よりも後ろ倒しになっており、家計費の支出のピークが55歳前後、という人が少なくありません。さらに、寿命が延び、生涯必要年収が増えている一方で、年金受給年齢が引き上げられている現状があります。これらを鑑みると、キャリアプランを意識して、市場で価値のある人材でいられるように準備しておくということが、40代以降においては必須のテーマとなってきています。
正社員だけが勝ち組ではない時代
大手一流企業に就職できれば、人生勝ち組という時代は今では古すぎる話になりました。テクノロジーの進化に伴って、今まで人間の手で行っていた仕事が一部なくなり、逆に今までなかった仕事がうまれています。業務は効率化され生産性が重視され、ただがむしゃらに朝から晩まで会社で働くという働き方だけが求められることもなくなってきました。そんな環境の中で、40代以降、どのようにキャリアを考えていけばよいのでしょうか? 50歳で相談に来られた二人の男性の例を挙げます。
①Aさんの場合
有名私立大学を卒業後、大手メーカーの営業として5年間勤務。その後、大手広告代理店に転職をし、20年間アカウントエグゼクティブ(営業)として大手企業のマーケティングコミュニケーションの戦略立案やブランディングなどに従事。Aさんは、とにかく仕事が面白くてこの会社で定年を迎えるだろうとどこかで思いながら働いていましたが、会社の業績不振により、給与が高く年齢が高い営業からリストラに。なんとか小さな広告代理店の営業部長として職が見つかり2年間勤務するも、社長と方針があわずに退職。通販会社の営業責任者として転職しましたが、実績が出せないまま1年経たずに退職。その後、給与維持、正社員の案件を1年以上探していますが、いい縁に巡り合えず、いまだ転職活動中。
②Bさんの場合
有名私立大学を卒業後、大手SIerに就職。営業を中心として28年間、1社で勤務していましたが、早期退職の募集がかかったタイミングで手を挙げ退職。年収が多少下がってもいいので、今までの経験を生かす仕事ができる企業を、ということで転職活動を半年ほどしていました。その中で、大手1社のみで培ってきた経験は意外と他社で欲しがられないこと、年収が高すぎること、を実感するに至りました。そこでBさんは、正社員としての転職から方針転換し、過去に営業として懇意にしてきたお客様の会社数社と顧問契約を結ぶことにしました。現在は数社の顧問に加え、数ヵ月のプロジェクトを手伝ったり、大好きなゴルフでキャディーを務めたりと、新しい働き方で頑張っています。
キャリアだけを考えるのではなく、ライフプランのイメージを
前段の例からもわかるように、年齢があがってくると、自分が思うような条件で正社員としての転職が成功するのは難易度が高いといわざるを得ません。一方で、正社員だけで仕事を進めていた時代は終わり、顧問や業務委託など外部のプロフェッショナルと協業していく企業は増えてきました。
前述のBさんは、思い切って今のスタイルを選択して本当に良かったといいます。確かに金銭的には正社員より安定していませんが、二人のお子様も大きくなってきたので、長年専業主婦をされてきた奥様も、これを機会にカフェで働きだしました。仕事だけに一心不乱だった人生が、少し豊かになった気がするそうです。
現在の70歳前後以上の方々は、60歳で定年退職をし、十分な年金を手にして、持ち家に住みながら余生を謳歌するのが理想とされてきた世代だと思います。しかし、これからはその生き方だけが理想のロールモデルとはいえません。「キャリア」「仕事」だけにフォーカスしてキャリアプランを立てるのではなく、働きながら人生を生きる「ライフプラン」も考えて幅広い選択を考えておくべきではないでしょうか。