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顧問の役割と求められる経験とは?

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企業が顧問に期待する役割

昨今のビジネス環境は、競合環境を始めとしてスピードが速く、また高い専門的知識が必要なガバナンスやコンプライアンスの問題等の思わぬ落とし穴が多く、社内の人材だけで適切にキャッチアップしていくことが難しくなっています。そこで、外部アドバイザー的な立場で、具体性が高い指導を行える顧問が求められるようになってきています。また顧問は、「具体性が高い指導」は行っても「意思決定」の権限は持ちません。ですから具体的なアドバイスを受けても経営陣がそれをすべて採用する必要がなく、参考意見として扱えるのもメリットです。また、「戦略面」を担うのが一般的で、「実際の運用や実務」は社内の人間もしくは、アウトソーサーなどに任せることが通常です。

実際どんな活躍例があるの?

実際に顧問として紹介をした人材が活躍しているケースを挙げます。新興市場に上場している1,000名規模のサービス業を営む企業です。事業拡大のため、国内外で複数のM&Aを行い、本業と親和性がありそうな事業がそろってきましたが、世の中全体を見渡して先読みし、そのグループ全体をインテグレートできる視点を持つ人材が社内にはいませんでした。初めは、こういうことができる戦略コンサル出身の方を「社員として採用したい」という相談で数名を紹介しました。しかしながらハイレベルの戦略コンサルになればなるほど、いきなりひとつの企業に入って結果責任を持って仕事をするということは、自分にとってリスクでしかない、と考える方が多かったのです。そこで、最初は戦略顧問として関わり、お互いに一緒にやっていける確信が持てたら内部の人間になる選択肢を考えていく、という形で合意しました。結果、事業だけでなく人員の再編にも手を付ける必要が分かり、内部の人間だけだと、今までの貢献度合いなど感情的な部分が影響して思い切りよくできなかった人事異動も、経験・能力といった部分に最大のフォーカスをして実施することができました。顧問という形でジョインしたおかげで、当初の目的以外のメリットも加わり、成果を挙げていると言えます。

また、別の例で、創業20年が経過し、単一事業で安定している企業のケースです。大きな事業拡大もなければ、シュリンク要件も見当たらない状況でしたが、お客様やサービスに対しての気のゆるみが、営業に広がりつつあることを社長が察知しました。そこで新規事業を立ち上げようと社内に声をかけましたが、やれそうな人材もやりたいという人材もいませんでした。そこで、主に社長の相談相手として、実際に複数の会社で事業を立ち上げてきた経験、そして現在はコンサルタントとして新規事業や組織作りのアドバイスをする経験を持つ人材を顧問で迎え入れることにしました。結果的に、新規事業の検討と並行して、営業組織の再編、外部人材の登用、評価制度の改定等もでき、社内に活気が出てきて、新しいことに取り組もうという雰囲気が出つつあるという状況になっています。

成果を挙げられる具体的な専門性が必要

前段で挙げた2つの例で求められたのは、それぞれ「戦略コンサルとしての豊富な経験」「新規事業立ち上げ経験と組織・人事分野への高い知見」だったわけですが、顧問として活躍するには、ある分野、もしくは複数の分野においての高い専門性が必要です。過去の実例の中で実際に求められたスキルや専門性としては、人脈経由の営業先紹介など営業系の課題を埋めることのできるスキルや経験、人事・経理財務・経営企画・広報等、特定のスタッフ系組織の課題をアドホックに対応するスキルや経験、社長のよろず相談係として経営に参画したことのある実績、官公庁等、特定組織へのパスを持っていること、IT等最新技術分野で社内育成が難しい部分での課題解決ができるスキルや専門性、などが挙げられます。





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【著者】
小田切郁子(㈲インターブリード シニアキャリアアドバイザー)

1995年、早稲田大学第一文学部卒業後、株式会社リクルート入社。じゃらん営業、ゼクシィ編集・事業企画・メディアプロデュースを経て、30歳で出産のため退職。出版プロデューサー、EAP(従業員支援プログラム)コンサルタントを経て、2006年人材紹介業界へ。現在は、事業開発、経営企画を含むマーケティング領域(ジュニア~エグゼクティブ)と、経営周り(CXO、部長クラス)の人材を中心に支援を展開。その他、組織コンサル、採用コンサル、研修講師、株式会社HRデータラボにてマーケティングディレクターとしても活動中。

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