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M&Aを生かせる企業であるために、すべきことは何か。

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そもそも、M&Aに何を求めるのか?

ご存知の通り、M&Aは多額のコストと相応のリスクを伴うものですが、近年、日本企業が関係するM&Aは、件数、金額ともに過去最高レベルになっています。もちろん、一口にM&Aと言っても、その目的はさまざまです。例えば、「高い技術力を手に入れたい」「優良な顧客基盤を築きたい」「高い収益性を獲得したい」など、その企業の状態や目指す未来の姿によって、その目的が変わってきます。別の言い方をすれば、その目的に応じたM&Aでなければ、マイナス効果を生んでしまうことも往々にしてある、ということです。ちなみに、M&Aを行うことの最大の価値は「時間を買うこと」でしょう。言うまでもありませんが、M&Aによって、「技術」「顧客」「ブランド」「販売チャネル」「収益の柱」などを一瞬にして手に入れることができます。

大なり小なり、リスクを伴うのがM&A

企業の将来に大きな影響を与えるM&Aですから、一般的に、軽率な判断で行われることは考えにくいです。しかし、「異業種参入」を目的としたM&Aをはじめ、特に、その企業(経営者)にとって未経験、いわゆる「飛び地」のM&Aである場合などは、社外の実務家や有識者の力を借りることが重要となります。既存メンバーのみでそれが満足に行えるのであればそれに越したことはありませんが、やはり、どのような業種においても、それぞれ成果を出すための「機微」があるものです。どれだけ熟考したとしても、「見えない」「わからない」ことが必ずあります。そのため、顧問や社外取締役などを活用することも有効な手段となってくるでしょう。ちなみに、相手先企業の選択のみならず、M&A後の統合作業における推進力も、M&Aの成否に大きな影響を及ぼすことになるため、この部分も含めてリスクを見極めていかなければなりません。たとえ、相手先企業が同業種であったとしても、企業(組織)が変われば、まったく異なる価値観・ルールで運営されているということが少なくありません。(むしろ、ほとんどのケースにおいて、そうであるでしょう。)したがって、M&A後の統合作業も見据えた判断、そして決断が必要となってきます。

日本企業がM&Aで成果を挙げるために

企業の成長や外部環境の変化に伴って、その企業の中核的な事業が入れ替わっていきます。そして、そのような変化を受けて、「企業売却」や「企業買収」が行われるわけですが、このことと「雇用」は密接につながっています。ご承知の通り、日本は戦後のある時まではずっと右肩上がりの成長を重ねてきました。そして併せて「終身雇用」という制度によって企業を運営してきたという側面があります。つまり、「売却(≒リストラ)」の必要性も低ければ経験も乏しく、結果として「売却」を苦手とする傾向があるのです。ただ、「成長の見込める企業(事業)を買収すること」と「そうではない企業(事業)を売却すること」によって、企業(事業)の維持、成長が可能になるわけですから、今後はより強力に旧来の価値観に囚われない雇用や人材教育を推進していくことが必要となってくるでしょう。いわゆる「労働力の流動化」を日本社会が、より当たり前のこととして受け入れるようになることが、M&Aでの成果、さらには日本企業の成長につながっていくのではないかと思います。また、「雇用」において見落としがちな上流工程の人材、つまりM&Aを熟知した顧問や、新しい事業に適した社外取締役などを迎え入れることが重要なのも、改めて押さえておきたいところです。





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【著者】
松本晃秀(リープクリエーション合同会社 代表)

リクルートグループを経て、株式会社電通にてメディア、エージェント業を学んだ後に独立。
「東証1部上場企業から中小零細企業までの500社」と「就職・転職・独立したい個人1000人」に会い、その経験をもとに「成長」「キャリア」「雇用」「独立」などをテーマとした個人発行として日本有数のオンラインメディア「21世紀独立論」を企画・運営。現在は、法人・個人のコンサルティングのほか、広告ビジネス、セミナー・講演なども行う。

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