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M&Aを活用した人材獲得

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今でも多いM&Aに対しての誤解

M&Aに対する誤解は多く、そのほとんどは言葉の響きからイメージされるものです。中規模企業の経営者であっても、M&Aの仕組みやメリットとデメリットの詳細を知らずに重要な意思決定を下していることは少なくありません。私が理事を務めている一般財団法人日本M&Aアドバイザー協会(JMAA)では、M&Aの普及と認知のために各地で経営者向けに「誰にでもわかるM&A入門セミナー」を開催しています。セミナーで参加している経営者に対してM&Aのイメージを聞くと、圧倒的にネガティブな印象を持っていることが多いです。M&Aから類推する言葉として「ハゲタカ」「金儲け」「失敗」「敵対的買収」などの負の言葉が出てきます。しかし、ご承知の通りM&Aは企業戦略の中の一手にすぎません。ほかの企業に資本を入れる代わりに時間やノウハウを買うという手法なのです。

人材獲得の手法としてのM&A

昨今、優秀な人材が確保できないという課題は企業経営者にとって恒常的な悩みとなっています。特に、狭い業界の認知度の低い企業や規模の小さい企業でその傾向が顕著です。求職者たちは、応募先を探す際によく知らない業界や企業を積極的に考えることが難しいのでしょう。M&Aのイメージが悪いままで普及しないのに似て、就職活動もイメージ先行で応募先の企業が選ばれることが多いようです。

M&Aは、企業戦略を自分たちのみで行うか、ほかの企業に資本を入れて行うかという選択肢の一つです。これを人材獲得に応用すると、必要な人材を自社のみで獲得するか、資本を入れた先の企業から獲得するかの選択となります。実際、私のクライアント企業でもM&Aを活用して欲しい人材を確保するケースが徐々に増えてきています。「人材」という課題に対する打ち手としてM&Aという方法を提案できると、経営アドバイスの幅も広がります。

他業種の企業がIT人材を獲得したい場合

人材紹介のビジネスで急激に成長している企業を例としてみましょう。その企業では日常業務の効率化のためにパッケージ化されたサービスソフトを導入していましたが、自社の成長とともに独自の考え方やノウハウが蓄積され、汎用的なサービスソフトでは対応できなくなりました。そうすると、自社ビジネス向けにカスタマイズしたオリジナルシステムの構築が必要になり、IT人材を確保するという経営課題が挙がってきます。この企業は、すぐにIT人材の採用募集をかけましたが、上手く人材の確保ができないという次の課題に直面しました。なぜなら、IT人材の多くは直接IT業界に仕事を求めるからです。人材紹介の企業がITエンジニアを独自で募集しても、なかなか興味を示されないのです。

そこで視点を変えて、IT業界のベンチャー企業や小規模のIT関連企業に出資し、企業ごと人材とノウハウを確保するというM&Aを活用した人材獲得を行うことにしました。これは考えられるケースの一例で、実際には、抱える課題に対して、自社が求める理想の企業がすぐに見つかる可能性は低いでしょう。しかし、企業戦略の一手として他企業に資本を入れて、必要なものを獲得するという解決策を選択肢の一つとして増やしておくことは、重要だといえるでしょう。





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【著者】
早嶋聡史(株式会社ビズ・&ナビ&カンパニー代表取締役社長)

経営者のモヤモヤをスッキリするコンサルティング会社の代表。コンサル事業では売上規模で100億円前後のオーナー社長や経営陣に対して戦略立案の支援、問題解決の支援、計画実行の支援を提供。研修事業では上場企業の管理職に対してマネジメント、戦略立案、問題解決のワークショップを提供。M&A事業では小規模M&Aに特化したM&Aアドバイザリー業務の提供。ボンド大学MBA。一般財団法人日本M&Aアドバイザー協会代表理事。

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