社外取締役の
役割と重要性
受入れ環境の整備が進む社外取締役
コーポレートガバナンスの強化に向けて会社法が改正され、 2015年5月1日から施行されています。 改正の大きなポイントは、 取締役会に対する監督機能の強化。 そのために重視されるのが社外取締役です。 社外取締役を置きやすくするため、 新たに監督を目的とする機関を創設する制度(※監督等委員会設置会社)も設けられました。 このメンバーは3人以上の取締役からなり、 またその過半数を社外取締役とすると定められているので、 最低でも2人以上が必要です。
今回の会社法改正では、 社外取締役の義務化は
今回の会社法改正では、 社外取締役の義務化は見送られましたが、 置かない場合には株主総会でその理由を説明しなければなりません。 さらに東京証券取引所は、 東証1部、 2部上場企業に対して、 社外取締役2名以上の選任を義務づける上場規則案の新ルールを金融庁とともにまとめ、 2015年6月1日から適用しています。 導入せず、 かつ説明責任を果たさなければ罰則を適用するというかなり厳しいルールです。 このように外部から、 社外取締役の活用をうながす働きかけが進んでいます。
そもそも社外取締役とは?
そもそも社外取締役とは、 文字通り社外の立場からその会社を支援する権限を持つ人です。 第三者としての独立性、 透明性を保つために関係者の就任は禁止されています。 関係者とは、 その会社はもちろん、 親会社や兄弟・子会社などのグループ会社にわたって、 管理職から社員、 従業員まで立場を問わず業務を行う人のことで、 現在だけでなく過去に関わりのある人も含まれます。 今回の改正では当該会社の近親者も新たに禁止されるなど、 社外取締役の要件がより厳格化されました。
"関わりがない"という要件を満たす人なら、 原則誰でも社外取締役になれますが、 一般的には、 会社の経営者や役員経験者のほか、 学者や会計士、 弁護士などの有識者を招くことが多いようです。 有名なところでは、 コンビニエンスストア「ローソン」隆盛の立役者であり、 現サントリーホールディングス社長の新浪剛史氏が、 オリックス、 三菱自動車、 ACCESSの社外取締役を務めています。 新浪氏の起用は成功例として語られることが多く、 政府が社外取締役に期待する監督機能強化のほかにも、 実績ある経営者としての指南が重宝されているようです。
このように、 義務化に伴い仕方なく、 という消極姿勢ではなく、 逆にこの機をとらえ、 広く社外取締役の知見や専門性を活用しようとする気運が多くの企業で高まっています。 特に、 コンプライアンスの面から法律に詳しい人材をはじめ、 税務会計や投資判断に明るい人、 それぞれの業種・業界に関して的確な助言ができる人など、 アドバイサー的な役割が期待されています。 事実、 「社外」がついても取締役であるのに変わりないので、 原則として社内取締役と同じ権限を行使し責任を負います。 選任についても同様に、 取締役会によって諮られ承認されます。 ただし社内取締役とは異なり、 「責任限定契約」を結べることが1つの特徴です。
これは会社に損害を与えた場合の賠償等の限度額を定めたもので、 簡単にいえば巨額の賠償責任を免れる権利です。 社外取締役の成り手を確保するとともに、 臆せず自由な意見を述べられるよう設けられたもので、 社外監査役、 会計管理人、 会計参与も同様です。 なお、 今回の法改正により、 社外取締役の登記登録が原則廃止となりました。 委員会の設置や取締役会の決議内容に関係するなど、 その存在が法律上の効果を生む場合にだけ、 社外取締役である旨を登記すれば足りることになっています。 これも企業の負担を軽減し、 登用を進みやすくする方策です。
報酬や任期
社外取締役の任期は、 1年または2年で更新可とする会社が多いようですが、 監督等委員会のメンバーになった場合は、 1期2年(短縮不可)です。 平均報酬額は、 三井住友信託銀行の調査によると約640万円。 605社中、 年棒400万超~800万円以下が約34%とボリュームゾーンになっています。 とはいえ、 迎える会社の規模や当人の評価、 期待される役割によってかなりバラツキが見られ、 案件ごとに条件は異なりますので、 詳細はマイナビ顧問までお問い合わせください。
当事者意識が高く、
アグレッシブに経営参画する社外取締役を求める企業
社外取締役を受け入れる環境整備が進んでいるのは、 国の成長戦略において、 コーポレートガバナンスの改革が目玉になっているからです。 社外取締役という第三者の監督によって、 経営の透明性や安全性が確保されていると客観的に周知されることは、 日本企業に対する内外の投資家からの信頼向上につながります。 これにより日本企業への投資が促進され、 日本経済の成長に大きく寄与すると期待されているのです
言うまでもなくコーポレートガバナンスの核心に在るのは取締役会です。 社外取締役の定義では、 取締役会の参加が「最も期待される職務」に上げられていますが、 現状は低出席率が報道されるなど芳しくありません。 一方で、 社外監査役は機能していると見られています。 両者とも企業の業務遂行をモニターするという役割は同じですが、 監査役がどちらかといえば企業価値が損なわれないよう注視する立場であるのに対し、 社外取締役は、 より能動的に企業価値の向上を考えます。 そこが、 創業者が力を持ち、 外部の干渉を好ましく思わない体質の企業には馴染めなかったのかもしれません。
しかしグローバル化が進み、 海外企業を含むM&Aなど従来にない戦略や、 英語の公用化、 人材採用におけるダイバーシティなどが浸透するなか、 もはやこれまで自社で積み上げた経験値では通用しなくなるのも事実です。 一方で、 社外取締役をアグレッシブに活用する企業は、 ブレークスルーに向けて大きなポテンシャルを秘めています。 たとえばIT企業、 ドワンゴ取締役の夏野剛氏は、 ゼガサミーの社外取締役として、 複合リゾート事業をはじめとする数々の同社の新展開、 新たな価値創出に積極的に関わっています。 企業としての視野を広げ、 活力ある風を吹き込むためにも、 豊かな知見や人脈、 専門性を持つ社外取締役の有効活用が求められています。
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代表的な事例
IPOに向け内部強固を可能とした
スペシャリスト
IPOを視野に入れ更なる内部強化を図りたい同社より、 社外取締役のニーズを頂きました。 経営能力に長け、 且つ財務・会計に強い若い会計士をご紹介。 経営に携わってこられたご本人様の経験や、 現在の社外取締役のメンバーにはない新しい感覚から、 同社の代表取締役から高い評価をいただき成約となりました。
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