現場の論理と経営側の論理を多角的に合わせ持つ
KM様は長らく、某電子機器販売会社に勤められ、営業から支店長、本社東京営業部長を勤め、定年まで執行役員、取締役常務執行役員を歴任するなど、たたき上げの現場の論理と、経営側のバランス感覚を合わせ持っておられます。また長い営業経験により、他社とのパイプの築き方、そして他社人材との信頼関係構築術に長けております。KM様の独特な嗅覚、そして多角的な視点で企業の問題点を分析する能力は、必ずや貴社のお役に立つことでしょう。
営業の仕事内容も時代とともに変化
私に強みがあるとしましたら、「営業」という幅の広い仕事の、昔と今の現場、そして企業の中の立ち位置の変遷を知っていることでしょうか?時代とともに仕事内容が変化していくのは、どの仕事でも同じだと思いますが、なかでも「営業」の仕事内容は大きく変化したといえます。昔の営業マンは本当に、とにかく何でもやっていました。セールスはもちろん、車を運転して一軒一軒こまめに営業先を回り、金銭のやり取りも振り込みではなかったので、集金もやりました。今は営業の世界もバックヤードのアシストも含め、組織力の勝負になっています。プロ野球の世界に例えると、ピッチャーの分業制と一緒。先発→中継ぎ→抑えと揃った分業制です。たった一人で投げ抜き、しかも連投なんて有り得ないのと同じことです。もちろん「変わらぬ大切な部分」も多いのですが、時代の移り変わりとともに変化するのも大切なことです。
今も変わらぬ「大切な部分」があります
先ほどの話の補足となりますが「変わらぬ大切な部分」は、社内であれ、社外であれコミュニケーションですね。たとえば一緒に飲みに行くとか、ゴルフをするとか、一見して無駄なようなことに意味があったりします。昔と違うのは、あくまでその人の趣味に合ったことを選ぶことなど、むしろ上司側の人間が気を使うことですね。我々が若い頃にやられてきたことを、そのままやってもダメです。あとは部下と「二人三脚」でやっていく姿勢です。お客さんのところで悩んでいたなら、ときには相手先に同行し、何が問題なのか?指摘してあげるなどのフォローが大事です。大抵のことがオフィスの机上で処理できてしまう現代だからこそ、現場の空気を共有するフットワーク力が問われてきます。ただ机上の空論でガーガー言っているだけでは、何も生まれません。
「副業OK」で人脈と自立心を培わせる
ITの進化による効率化で、やがてはオフィスに通勤しなくても仕事が回る時代が来るでしょう。そんな時代だからこそ、その人材が培ってきた「人脈」が、ますます重要視されてくるでしょう。特に社外の人脈こそが財産です。社内で同じメンバーでグルグルと仕事を回していても、やがては閉塞感に陥ります。最近、「副業OK」という会社が増えていますが、あれは閉塞感を打破するのにも効果アリなんですね。同じ場所から脱皮して、違う場所を違う角度から見て、社員が自己責任で時間を有効活用するようになります。そうすると仕事自体が「やらされている」モノではなくなり、能動的に動くことで面白くなり、結果的に会社が活性化するんです。日本はまだまだ「副業ばかりに注力されても困る」という部分で、副業禁止規定がある企業が多いのですが、まったく逆の発想なんです。有能な人材の離職を防ぐメリットもあります。
常に20%の新規開拓を!
私は今、IT系企業の顧問を務めさせていただいております。特にメインでやっているのが新規開拓ルートです。IT系に限らずとも、お客様というのは、年間で15~20%は消えていくものです。だからこそ、常に年間15~20%は新規開拓していく姿勢が大切です。開拓することを習慣化していない企業は必ずや衰退していきます。何もかも硬直して「死に体」となっている企業がそれです。よく「新規開拓」と言いますと、A社とは別のB社を開拓するということを考えがちですが、同時にA社の中の新しい分野、違う部署を開拓することも大切です。現在は一つの会社の中でも、行っている事業、内容がものすごく分散化しているので、(会社の)中の開拓という部分も同時進行で考えるべきです。そのためのツールとして、人脈を持った私のような顧問を存分に利用していただければと願います。
顧問プロフィール
元大手IT関連商社 K.M様
1953年、東京都新宿区出身。日本大学法学部政治経済学科卒業後、電子機器販売会社に勤務。営業部員として活躍後、神奈川支店長、本社東京営業部長、執行役員コーポレート営業本部・本部長、取締役常務執行役員・営業部門長代行などを歴任。定年退職後は株式会社を設立し、複数社と顧問契約を結ぶ。新規販路の拡大、既存得意先の深化耕作、営業部門の教育等をフィールドとする。趣味であるジャズ鑑賞でも専門誌にコラムを執筆するなど、幅広く活動中。